持ち家vs賃貸、40年間でどれだけ差がつく？ライフスタイル別の住まい選び

住まい選びは人生における大きな決断の一つです。持ち家と賃貸、それぞれにメリット・デメリットがありますが、実際のところ費用面ではどれほどの差があるのでしょうか。今回は、具体的なシミュレーションをもとに、両者の費用を比較してみましょう。

40年間の住居費、実際にいくらかかる？

首都圏の約70㎡のマンションを想定し、35歳から75歳までの40年間にかかる費用を試算してみました。

持ち家の場合：総額約8,147万円

物件価格5,000万円の中古マンションを、頭金500万円、残りを住宅ローン（固定金利1.5%、35年返済）で購入したケースです。

• 住宅ローン総返済額：5,787万円
• 管理費・修繕積立金（月3万円）：1,440万円
• 固定資産税・都市計画税（年18万円）：720万円
• 火災保険・地震保険料（年5万円）：200万円

住宅ローンの返済以外にも、管理費や税金など継続的な支出が発生することに注意が必要です。

賃貸の場合：総額約8,650万円

月額18万円の賃貸物件に住み、60歳の時点で月12万円の物件に住み替えるケースです。

• 賃料（35〜59歳は月18万円、60〜75歳は月12万円）：7,488万円
• 共益費（月1.5万円）：720万円
• 敷金・礼金（2回分）：60万円
• 更新料（2年ごとに1カ月分）：312万円
• 引っ越し費用：30万円
• 火災保険料（2年ごと）：40万円

賃貸では更新料や引っ越し費用など、見落としがちな出費が積み重なります。

シミュレーションから見えること

このシミュレーションでは、40年間の総額で約500万円、持ち家の方が安いという結果になりました。ただし、これはあくまで一例です。持ち家の場合、住宅ローン控除を活用すれば実際の負担はさらに軽減されます。一方で、将来の売却を考えるなら、人口減少や空き家問題による資産価値の変動リスクも考慮すべきでしょう。

外的要因に左右されすぎない選択を

2025年現在、全国的に不動産価格は上昇傾向にあります。国土交通省の地価公示によると、全国平均で前年比2.7%上昇し、4年連続の上昇となりました。特に都市部では上昇率が顕著です。また、住宅ローンの金利動向も重要な判断材料です。金利が低いほど持ち家のコストメリットは高まるため、ライフイベントに合わせて、不動産価格や金利の動向もチェックしておきましょう。

本当に大切なのは「どう暮らしたいか」

とはいえ、住まい選びは単純な損得勘定だけでは決められません。家族構成、働き方、将来の転居可能性、リフォームの自由度など、人それぞれの価値観によって最適な選択は異なります。金利や家賃相場といった外的要因だけにとらわれず、「どのような暮らしを望むのか」という本質的な価値観を大切にしてください。数字はあくまで判断材料の一つ。自分や家族にとって心地よい住まいのあり方を見つけることが、何よりも重要です。
※試算結果は一例であり、立地や広さ、築年数などによって実際の金額は大きく異なる場合があります。