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2024.06.28
2024年住まいのトレンドワードは「断熱新時代」

株式会社リクルートの住まい領域の調査研究機関である『SUUMOリサーチセンター』は、「SUUMOトレンド発表会2024」を2024年6月27日(木)に開催し、「断熱新時代」というトレンドワードを発表しました。住宅の性能への関心が高まっており、技術進化でアップデートされたエコ観点に加え、健康に過ごすという観点で断熱性能が注目されています。

 ~健康でエコな新しい住まい水準へ~

住宅性能のなかでも関心が高まっているのが「断熱性能」

その理由は主に3つあります。

理由①断熱性が高いと冷暖房の効きが良い

住宅は壁や床・天井で囲まれ、壁には多くの窓があります。断熱材で壁や床・天井をしっかり覆い、窓の断熱性能を高めることで、外気の暑さ寒さに対して、熱の出入りが少なくなります。つまり、断熱性能が高いほどエアコンなどの冷暖房効率が良くなり、室内の温度を保ちやすくなるのです。 エアコンの使用で何より気になるのが電気代の高騰です。政府による補助金がなくなったことで、冷房が必要な6・7月で、前年よりも電気代が高くなります。 岸田政権が、唐突に「酷暑乗り切り緊急支援」として8~10月の電気代の補助を行うと発表しましたが、補助がなくなれば毎月の電気代アップが積み重なることに変わりないのです。

理由②住まい探しでの断熱への関心が高まっている

住まい探しをする際に、SUUMOのサイトで「ZEH」「省エネ」といった文言を含む問い合わせが、平均的な問い合わせ数よりも「新築マンション」で1.6倍、「新築一戸建て」で1.5倍、「賃貸」で1.8倍になったり、「ZEH」[省エネ]といった文言を含む物件掲載数が増加したりといった傾向が見られ、関心の高さがうかがえます。

理由③今住んでいる住宅の断熱改修に取り組む人が増えそう?

リフォームで重視したい項目を聞くと、「断熱」「省エネ」を選択した人が増えているほか、YouTubeでは、市販キットを使って断熱DIYする様子を紹介した動画が多く掲載されているなど、住んでいる住宅の断熱改善への興味の高さがうかがえます。

◎犬を飼っている家庭でZEHへの関心が高い

SUUMOリサーチセンターの調査によると、ライフステージ別では子どものいる家庭で、ペット関連では犬を飼っている家庭で、今後賃貸住宅を探す場合に、ZEH賃貸住宅を「家賃が上がっても検討したい」と回答した比率が高く、 これは共働きが増えたこともあり、家で留守番をする犬のためにエアコンをつけたままで外出する家庭が多いためでしょう。電気代のことを考えると、家賃が上がっても電気代を気にせずに済む賃貸住宅が良いという思惑からだと考えられます。

◎電気代や快適な居住空間だけでなく「健康」にも注目

住宅の断熱性能を高めるメリットとしては、「少ないエネルギーで快適に暮らせる」、つまりエアコンの冷暖房効率が良く、快適な室温を保てることにありますが、ほかにも住宅ローン減税の減税額や子育てエコホーム支援事業の補助額が引き上げられるなど「優遇が大きい」こともあります。 さらには、室温が安定することで、ヒートショックや熱中症のリスクを軽減できる。窓や壁の断熱性能が高いと屋外の冷気の影響を受けにくくなるので、窓ガラスの結露が発生しづらくなります。結露を放置するとカビの原因にもなるので、健康被害を引き起こす可能性も軽減できます。このように、健康面でもメリットが大きいのが、断熱性能の特徴です。

近年は、住宅の工法や建材の進化によって、より高い断熱性能の向上が期待できるようになったことも追い風になっています。例えば、HEMS3.0(使用料の見える化や遠隔操作に加え、自動制御によってエネルギー消費の最適化が可能)を活用することで極めて高い“スーパー断熱仕様”を実現することができたり、居住時間の長い部屋だけを断熱改修する“部分断熱改修”を実現できたりします。

また、近年は省エネ基準の義務化やZEH住宅の推進などを受けて、地元の工務店の断熱施工技術が向上していることも、断熱性能向上が広がる要因にもなっています。

◎学校や公共施設の断熱改修も進む

断熱性能への関心は住宅にとどまりません。それは、年間の熱中症のうち4.7%(総務省「令和5年(5月から9月)の熱中症による救急搬送状況」より)は、教育現場で発生しているからです。また、夏季の教室の体感温度が高い学校ほど、体調不良の訴えや集中力欠如の発生率が上がりますが、断熱改修など環境改善を行うことで、これらの数値は改善することがわかっているといいます。

こういった背景を受けてSUMMOでは、省エネの観点が大きかったこれまでとは異なり、健康や快適な暮らしなど身近に住宅の断熱性能を感じられる、新しい時代「断熱新時代」がやってくると予測しています。